コラム
トイレ
オストメイトトイレ家庭用の具体的な活用と設置方法
病院や一部の公共機関のトイレにはオストメイトマークがあります。人のお腹に+があるようなマークとなっていて、オストメイト対応トイレであるとすぐに分かるものです。日本では約20万人の人がオストメイトトイレを活用しています。
そもそもオストメイトトイレとはどういったものなのでしょうか。オストメイト対応トイレの概要から、リフォームをした時の費用等も含めて紹介します。
基本の要素からしっかりと押さえておきましょう。
目次
1.オストメイト対応トイレとは?
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オストメイトは病気や事故が原因で尿や便が正常に排泄できなくなってしまい、手術によってお腹に穴を開けて尿管や腸をつないで排泄口を作っている人を指します。いわゆるストーマ、つまり人工膀胱や人工肛門を持っている人がオストメイトです。
オストメイト対応トイレとは、上記のような人が問題なく排泄できるように対応したトイレを指します。
ストーマ
ストーマは、ギリシャ語で人工膀胱や人工肛門を指す言葉です。ストーマまでは自分の尿管や腸を使います。私たちは通常、筋肉を使って排泄が我慢できますが、ストーマには筋肉がないので我慢ができません。
したがって、排泄物を一時的に受けるために、ストーマ装具をストーマ部分に装着しています。
オストメイト対応トイレにある設備
ストーマ装具は体に貼り付けて使用します。3日から5日おきに、排泄物をトイレに流して新しいパウチに交換しなければなりません。
オストメイト対応トイレには、上記の流れを円滑にするための設備があります。服の着替え台やカバンをかけておくフックのような一般のトイレにあるものもあります。
特殊な設備は、汚物流し台や汚物を廃棄するためのボックスなどでしょう。腹部の洗浄をしたり、ストーマ装具の交換をしたりできますし、足踏みで開閉する汚物入れボックスなどが設置されています。また、化粧鏡を使えば新しいストーマ装具の着用も容易になります。
他にも、何らかの原因によってパウチが破損したり、はがれてしまったりする場合があります。シャワーで洗い流してきれいにしなければなりませんが、オストメイト対応トイレには温水シャワーが設置されているので、緊急時でも利用できるようになっているのが特徴です。
2.家庭用オストメイト対応トイレへのリフォームも可能
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自宅にオストメイト対応トイレを設置したい場合、リフォームをすることで設置ができます。自宅のトイレスペースや予算も関係する話ではありますが、必要な機能だけを搭載させられるため、自宅に合ったオストメイト対応トイレへリフォームが可能です。
たとえば、自宅のトイレをオストメイト対応の便座に交換するだけのリフォームのような簡易的なリフォームもあります。必要であればトイレにパウチ・しびん洗浄水栓付き背もたれを取り付けることもできます。
ある程度トイレスペースがある場合は、機能的なオストメイト対応トイレにリフォームできます。空いているスペースに給排水管を設置してオストメイト専用トイレを設置したり、使用しているトイレとは別の場所にオストメイト対応トイレを設置したりすることもできます。
後者の場合は、スペースを作って対応するケースもあるため、給排水管工事だけではなくパーティションや扉も必要になります。前者よりも大掛かりな工事になるため、時間はかかるでしょう。
さらに、洋式トイレとオストメイト対応トイレの2つを設置するリフォームも可能です。トイレのスペースをかなり確保しなければならない上、給排水管の工事やオストメイト対応トイレの設置もしなければならないので大掛かりな工事になりますが、商業施設のような快適なトイレ空間を作ることができます。
3.家庭用オストメイト対応トイレへのリフォーム費用は?
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家庭用オストメイト対応トイレへリフォームした場合の費用に注目します。オストメイト対応便座への交換は簡易的な工事であるため10万円程度で可能です。
パウチ・しびん洗浄水栓背もたれを設置する場合でも15万円程度なので、費用を抑えたい人は簡易的なリフォームが良いでしょう。
洗浄流しなどの今まで自宅になかった設備を設置する場合は、20万円から100万円程度の費用がかかります。というのも、排水管等の水道設備を新しく作らなければならないためです。
ケースバイケースではありますが、トイレスペース自体を拡張する場合も考えられるので、費用にムラがあります。
ジャワメイト同様に、新しくスペースを作って既存のトイレとは別の場所にオストメイト対応トイレを設置したり、トイレスペースを広くして同じスペースにオストメイト対応トイレを設置したりする場合は、もっと費用がかかるでしょう。
4.依頼の際に注意すべきポイント
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リフォームをするとなると、業者に依頼しなければなりません。問題は業者選びを間違えてしまうとリフォーム費用が高額になる場合があるので、慎重に業者を選ぶ必要があります。
業者に実績があって、しっかりとした見積書を出してくれるかどうかなど、業者に関して隅々で調べてからリフォームの依頼をするようにしましょう。
あると便利な機能を搭載するか検討する
オストメイト対応トイレへリフォームする際、ストーマ装具内の排泄物を捨てやすい大きさや高さの汚物汚しやストーマ装具が洗いやすい水栓が必要になります。可能であれば設置すると良いでしょう。
また、必須ではありませんが、棚やフックがあるとケア用品を置いておく場所ができるので、作業が快適になります。
補助金が出る可能性がある
バリアフリー化のリフォームは、介護保険法や障害者自立支援法による補助金が認められています。現状では、オストメイトトイレは対象となっていませんが、市区町村によってはトイレのリフォームに補助金制度を定めている場合があります。
つまり、誰でも利用できる補助金のようなものです。補助金があればトイレに必要な機能に手が届くかもしれないので、市区町村を確認してみてからリフォーム内容を決めていくのがおすすめです。
5.ストーマ装具や関連用品は補助金が出る
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リフォームとは関係ありませんが、コストを削減する方法があるので紹介します。ぜひチェックしてください。
各自治体では、ストーマ装具やストーマに関連するものに対しての補助金が設けられています。コスト削減のためにも、補助金の活用を検討してみましょう。
永久的なストーマが必要なオストメイトであれば、障害者等級で4級以上に該当するため、資格が得られます。月ごとに基準となる金額を上限として、一定の個人負担比率を差し引いた分の給付がされます。
金額、関連用品の条件は自治体によって異なるので、相談窓口を叩いてみてください。
6.まとめ
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オストメイト対応トイレがないために、外出を控えている人もいたでしょう。しかし、オストメイト対応トイレがあれば問題ありません。
今後は公共施設をはじめとした、様々な場所で対応していくでしょう。オストメイトであっても外出しやすい世の中が近づいてきていると言っても過言ではありません。
オストメイトトイレはオストメイトにとって非常に重要な存在です。自宅にオストメイト対応トイレがあるだけで暮らしやすい環境で生活ができるので、リフォームを検討してみてください。
市区町村に聞いてみれば、補助金の有無も確認できます。場合によってはお得にリフォームができるので、まずは問い合わせをしてみてください。