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トイレに柔軟剤を流さない方がいい、本当の理由【水道職人:プロ】
「流すたびにふわっと香るらしい」
「掃除の手間が減るかも」
SNS などで見かける、トイレタンクに柔軟剤を入れる裏ワザ。
たしかに好みの香りは楽しめるかもしれませんが、柔軟剤は本来、衣類用に調整された液体です。
タンクや配管という水回りの設備にとっては、想定外の成分や粘度を持っており、思わぬトラブルの引き金になりかねません。
この記事では、なぜ柔軟剤を直接流すと危険なのかを解説し、余った柔軟剤の処分方法についてなども詳しくまとめました。
誤った情報に振り回されず、トイレを長く快適に使うためのヒントにしてください。
タンクに柔軟剤は詰まりのリスク
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柔軟剤には界面活性剤やオイル成分が大量含まれています。
これらは繊維などへの親和性が高い一方で、水には完全に溶け切りません。
タンク内部で水と合わさる段階ではサラサラでも、流れの遅い配管内では時間とともに粘度が増し、内壁に膜を形成しやすくなります。
その膜にホコリやトイレットペーパーの繊維などが付着すると、塊となって排水の通り道を狭めてしまい、最終的には詰まりや逆流を起こす危険に繋がります。
香りや清潔さのために行ったはずなのに…トラブル修繕のために数万円規模の費用がかかってしまうケースも少なくありません。
柔軟剤スプレーにも注意
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トイレタンクなどに柔軟剤を入れる方法以外にも、SNSでよく見かける情報として柔軟剤スプレーがあります。
柔軟剤を水で薄めてスプレーボトルに入れ、空中や布類に吹きかけることで良い香りを楽しむ、自家製ファブリックミスト、として紹介されているのを目にした方もいるのではないでしょうか。
しかしメーカー側の公式見解としては、衣類用に設計された柔軟剤をスプレーとして使用することは推奨していないとのことで、その理由としては主に以下のようなことが挙げられています。 -
衣類や壁紙にシミを残すおそれ
柔軟剤には油性の柔軟成分や香料オイルが含まれます。
薄めても完全に水に溶け切らないため、霧が家具や布製品に付着すると輪ジミやベタつきが残ってしまうケースが考えられます。
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肌・目への刺激
ミスト状になった柔軟剤が空気中に漂うと、吸い込んだり目に入ったりする可能性があります。
メーカー側の安全管理上、「目に入った場合は流水で洗い流す」といった注意も明記されています。
いくら水で希釈しているとはいえ、通常の用途としては想定されていないため、リスクがあると考えるのが妥当でしょう。
余った柔軟剤を安全に処分する方法
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使い切れなかった柔軟剤の処分方法として、香りづけのついでにトイレや洗面台に流してしまう、といった意見もちらほら見受けられます。
ご紹介した通り、排水管の内壁に付着してしまうことで詰まりや悪臭の原因にもなりますし、合成香料や保存料を大量に流すことは浄化槽・下水処理施設の負荷にもつながりかねません。
トイレにも環境にも配慮した適切な処分方法についても確認しておきましょう。 -
紙や布に染み込ませて可燃ごみへ
もっとも確実なのは、新聞紙や古タオルに液を吸わせ、ビニール袋でしっかりと密封して可燃ごみに出す方法です。
ゴミ回収時の液漏れやにおい漏れの事故にも配慮した、適切な処分手順としておすすめです。 -
十分に希釈して排水口へ
ボトルの内側に付いたわずかな残りを流す程度であれば、水で20倍以上に薄めてから排水口へ流し、すぐに大量の水で追い流しましょう。
こうすることで成分の濃度をできる限り下げ、配管への付着を抑えられます。
容器洗浄後はキャップと本体を分け、ラベルの指示に従って資源ごみとして処理しておきましょう。
詰まりや水漏れは水道職人へ
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良い香りだからと、柔軟剤をタンクや配管に流すと、一時的には香っても内部で固着して詰まりや水漏れを招くことがあります。
香りづけは市販の芳香剤などを活用し、間違ってもトイレなどには流さないよう注意してください。
もし「水の流れがにぶくなった」「タンクから嫌なにおいがする」といった症状が出た場合は、無理に自分で対処せず、私たち「かながわ水道職人」にご相談ください。
高圧洗浄機や内視鏡カメラを使い、配管の状態を確認したうえで最適な詰まり除去や部品交換を行います。
見積もりは無料ですので、トイレの違和感に気づいた際はぜひお気軽にご連絡ください。