コラム
水回り
井戸ポンプの仕組みと活用方法
井戸というと「昔の暮らし」をイメージする人が多いかもしれませんが、農業や家庭菜園など、現代でも用途は多岐にわたります。
今回は、そんな井戸ポンプの設置方法と活用方法について、詳しく解説します。
井戸ポンプとは?活用方法を紹介
-
井戸ポンプとは井戸の水をくみ上げるためのポンプのことです。家庭用井戸ポンプには2種類あり、「浅井戸ポンプ」と「深井戸ポンプ」に区別することができます。
どちらのポンプを設置するかは井戸の深さによって変わります。地表から井戸の水面までが8m以内であれば「浅井戸ポンプ」、8m以上であれば「深井戸ポンプ」となるため、井戸の深さは重要なポイントです。
また「深井戸ポンプ」については、汲み上げるためのモーターの設置も必要となります。一般的には「浅井戸ポンプ」の方が安く設置できますが、8m以上ある深井戸に「浅井戸ポンプ」を取り付けても使うことはできません。井戸の深さと取り付けるポンプの組み合わせには十分注意しましょう。
家庭用井戸ポンプを設置することで、井戸水をさまざまなことに役立てることができます。家庭菜園やガーデニングの水まきにはもちろん、農業用としても活用することが可能です。通常の水道代に比べると大幅に節約できるので、日常的に水を大量に消費する方にとっては大変便利といえます。
さらに水質検査で問題なければ、飲み水や料理用、洗濯、お風呂などの生活用水として利用することもできます。家族が多い家庭にとって、水道代を気にすることなく水を利用することができるのは、大きな魅力のひとつとなるでしょう。
また家庭用井戸ポンプがあらためて注目されるようになった理由のひとつに、災害時に利用できるといった点があげられます。近年、大きな自然災害に見舞われることがたびたび発生しています。災害に見舞われても、井戸水であれば断水することがありません。
万が一ライフラインが止まった際にも、井戸水が利用できれば大きな助けになるでしょう。
井戸ポンプを導入するメリットとは
-
家庭用井戸ポンプを設置するのは簡単なことではありません。しかし、それでも設置するに値するメリットがあります。
また設置を検討するには、メリットだけでなくデメリットをしっかりと理解することも大切です。
まずは家庭用井戸ポンプを設置するメリットについて確認してみましょう。
水道代の節約になる
なんといっても水道代の節約は大きなメリットです。井戸水は大量に使用しても水道代がかかりません。長期的にみれば、大幅に節約することができます。
ただし、生活用水として使用すれば、下水料金はかかるので覚えておきましょう。それでもかなりの節約になることは間違いありません。
一年を通して水温が適温である
季節によって温度が変わる水道水に対し、井戸水は一年中、水温が安定しています。井戸の中の水は外気の影響を受けないため、温度が一定に保たれるのです。
夏は冷たく、冬はあたたかく感じる井戸水はとてもありがたいですよね。これは、外気の変化で私たちの感じ方が変わるためで、井戸水の温度が変わっているわけではありません。
災害時にも水が利用できる
災害時の備えになることも大きなメリットといえるでしょう。災害時には、水の確保が困難となる場合が多くあります。万が一水道が断水してしまっても、井戸水があれば、汲み上げて生活用水として利用することができます。
手動式ポンプであれば、停電時でも使用可能なのでより安心できる備えになります。
カルキ臭がない
井戸水は消毒されていないため、水道水独特のカルキ臭がありません。水質検査で問題なければ、カルキ臭のない天然水がいつでも飲むことができます。新鮮で美味しい水が常にある、とても贅沢なことといえるでしょう。
井戸ポンプを導入するデメリットとは
-
多くのメリットがある家庭用井戸ポンプの設置ですが、続いてデメリットについても確認してみましょう。
「こんなはずではなかった!」と後悔しないために、デメリットもきちんと理解しなければなりません。合わせて重要な点は、井戸は個人の持ち物である、ということです。トラブルが起こった場合は自費で対応しなければなりません。
設置費用がかかる
デメリットとしてまずあげられるのが、設置費用がかかってしまうことです。井戸ポンプだけではなく、井戸の掘削から行う場合は、高額な費用が必要となる場合があるので、注意してください。また工事に時間がかかることも、覚えておきましょう。
費用と時間を考えて、本当に必要かどうかをよく検討し、設置を決めるようにしましょう。
井戸水の水質管理が必要
井戸水はきれいというイメージがありますが、すべてがきれいなわけではありません。細菌や汚染物質、金属が溶け込んでいる場合もあります。
工事完了後の水質検査で問題があれば、生活用水としては利用することはできません。生活用水として利用可能であった場合も、定期的な水質検査は必須事項です。また検査するためにはもちろん費用もかかります。
井戸水を利用するためには、継続的な水質管理が欠かせません。この水質管理を負担に感じる方もいるでしょう。
水量が一定ではない
井戸水は、湧き出している水のため、水量が一定ではありません。雨が降らず日照り続きなど、天候によっては使えなくなる恐れもあるので、過信しないようにしましょう。
また掘ってみないと、水量が分からないのもデメリットといえます。
停電時には水が使えない
電動ポンプを利用している場合は、停電時には電動ポンプが作動せず、水が使えなくなるので注意が必要です。
生活用水すべてを井戸水で賄っている場合には、水源が止まってしまうことになります。発電機を準備しておくなどの対策が必要です。この点の対策をきちんとしておかなければ、いざというとき、困難な状況に陥るので甘くみないことが重要です。
井戸ポンプの設置方法を紹介
-
家庭用井戸ポンプを自力で設置することは可能です。しかし、かなりの重労働を伴い、時間もかかることを心しておきましょう。決して簡単な作業ではありません。手順は次のとおりです。
最初に井戸を掘る場所を決めましょう。周辺に障害物のない所を選びます。場所が決まったら、スコップで1mほどの深さまで掘ります。井戸を掘る道具は、レンタルなどでも扱われているので、調べてみるとよいでしょう。
1mほど掘れたら、掘った穴に鞘管と呼ばれるパイプを設置します。
さらに帯水層まで掘り進め、水が出てきたら穴に塩ビ管を差し込んで管を固定し、井戸ポンプを設置します。
作業の流れは以上のようになりますが、地面を掘ればすぐに水が出てくるわけではありません。また土壌によっては、有毒ガスが発生する場合もあるので、作業を開始する前に十分な調査をする必要があります。
まとめ
-
家庭用井戸ポンプについて見てきましたがいかがでしたか?自力で設置することは不可能ではありません。興味がある方は、事前の準備をしっかりした上で取りかかりましょう。
「自分には難しいな…。」と感じた方は、無理をせず水道業者への依頼をおすすめします。確実な作業で設置してもらえば何より安心、安全です。
注意点としては、井戸ポンプの設置のみには対応していない業者もあるということです。依頼する際には事前の確認が必要です。ポンプの購入も合わせて依頼すると費用が抑えられる場合もあるので、費用についても確認してみるとよいでしょう。
見直されている家庭用井戸ポンプ、活躍の場はますます広がっていくのではないでしょうか。