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ウォーターハンマー現象とは?放っておくのはNG!
ウォーターハンマー現象という言葉をご存知でしょうか。
どの家庭でも発生する可能性があり、放置しておくと後々問題に発展する面倒な現象です。
ウォーターハンマー現象のメカニズムや発生する二次被害、さらに予防法などを知っておく必要があります。そこで今回はウォーターハンマー現象の仕組みとその原因や発生しやすい場所、想定される二次被害について詳しく解説します。
ウォーターハンマー現象とは
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自宅で全自動の洗濯機や食器洗い機を使用している方もいることでしょう。それらの家電製品を使用している最中に、壁の中から「ドン」「ガン」というような衝撃音が聞こえたことはないですか。
もしも聞き覚えがあるならそれはウォーターハンマー現象かもしれません。ここではウォーターハンマー現象のメカニズムについて解説します。
ウォーターハンマー現象は別名水撃とも呼ばれ、2種類存在しています。それぞれご紹介します。
■水道管内の圧力が急上昇することにより発生
ウォーターハンマー現象は水道管内の圧力が急激に上昇することで発生します。特にシングルレバータイプの蛇口を使用している方は注意しましょう。
流していた水やお湯を急に止めると、これまで流れていた水の運動エネルギーが行き場を失います。それが原因となり水道管内部に圧力が発生し衝撃音として現れます。
■水柱分離により発生
ウォーターハンマー現象は、水柱分離によっても発生します。
水の流れが急激に止まると止水栓の先端の圧力が一気に低下します。圧力が減少した場所に水が勢いよく流れ込むため、水がぶつかり合い大きな振動や衝撃音が発生します。
場合によっては、衝撃音が複数回聞こえるときがあります。これは一度発生したウォーターハンマー現象が原因となり、さらに複数のウォーターハンマー現象が発生しているという状況です。
さらにウォーターハンマー現象は瞬時に遠くの場所に伝わります。
なんと水道を使用している家から、道路を1本挟んだ位置にある住宅まで伝わるほどのエネルギーを持っています。
ウォーターハンマー現象が起こりやすい場所
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ウォーターハンマー現象は水道管が設置されていればどこででも発生する恐れがあります。特に最近の一般家庭では給湯器に加えて食器洗浄機、全自動洗濯機が普及しています。
これらの家電製品は水道管内での圧力変化が発生しやすいものですのでより一層の注意が必要です。
自宅でもウォーターハンマー現象発生の恐れがあり、水道管の故障やメーターの故障に繋がること、近隣住民に迷惑を掛ける可能性があることを把握しておきましょう。
ウォーターハンマー現象の発生場所や発生条件を理解して対策をすることで、予防が可能です。ここからは予防策もご紹介します。
まずはひねるタイプの蛇口がある場合にはゆっくりと閉めるようにしましょう。突然蛇口を閉めることで水道管内の圧力が急激に変化し、ウォーターハンマー現象が発生します。蛇口はゆっくりと閉めるように心がけてください。
元栓をややきつめに閉めることも効果的です。水道管の元栓をややきつめに閉めることで流れる水の量を減らすことができます。流水の量が減ることで圧力変化の絶対量も減少します。
しかし、元栓を緩めることでシャワーや水道の出が悪くなることもあります。その点を理解したうえで元栓をどう閉めるかを考えてみてください。
水撃低減器・水撃防止を設置することでも防ぐことができます。
この装置はウォーターハンマー現象に特化した機器です。自宅で生活をしている限り、どの家庭でもウォーターハンマー現象は起こる可能性があります。
これらの機器を設置することで未然にウォーターハンマー現象の発生を抑えられるので、一度導入を検討してみてください。
ウォーターハンマー現象が発生する原因
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ウォーターハンマー現象はどのようなことが原因となり発生するのでしょうか。ある日突然発生するようになることもあるため、しっかりと把握しておきましょう。
ウォーターハンマー現象は先述のとおり、水道管内の圧力が急上昇することと水柱分離によって発生します。
これらはウォーターハンマー現象の発生メカニズムですが、ある日突然ウォーターハンマー現象が発生するようになることがあります。もしこれまで気になったことがなかったのであれば、以下の3点が原因かもしれません。
もともと設置されていた水撃防止器の劣化・故障、配管更新工事を実施したことによる水の流量増加、近隣の住居数増加に伴う給水水圧増加が挙げられます。
上記に挙げたように、水道や電化製品の使用方法のみに依存しているわけではありません。周辺機器の不具合や周辺の住宅環境なども大きく影響するのがウォーターハンマー現象の特徴です。
これらを考慮すると、今後ウォーターハンマー現象がさらに増加することが予想されます。近年ではシングルレバー方式の水栓や、全自動で急に止水する洗濯機や食洗器などが一般家庭にも普及してきています。
それと併せて、人口増加によって住宅の高層化、住居密度の増加などが増えてきています。つまり水道の給水圧力や単純な給水量が増加しているということです。ウォーターハンマー現象がこれまでよりも発生しやすい環境となっています。
ウォーターハンマー現象が発生しやすい環境になっていってしまっている以上、これまで以上に騒音・振動対策やウォーターハンマー現象自体の対策が重要になっています。
ウォーターハンマー現象を放っておくと?
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実際にウォーターハンマー現象を放置しておくとどうなってしまうのでしょうか。
ここではウォーターハンマー現象を放置することにより発生するトラブルをご紹介します。
■水道からの衝撃音や振動による近隣住民とのトラブル
先述した通りウォーターハンマー現象は大きなエネルギーを持っています。
そのため、水道管で発生した衝撃音は、マンションの上下階や隣家にはっきりと伝わります。原因不明の衝撃音は近隣の方たちの生活を不快・不安にしてしまうことでしょう。
衝撃音が深夜や寝室にまで届くようであればとても大きく苦しめることに繋がります。
迷惑を掛けているつもりは一切なくても「嫌がらせをされている」と感じ取られ大きなトラブルに発展する可能性があります。
■ウォーターハンマー現象の衝撃による漏水
ウォーターハンマー現象では大きな衝撃が水道管を刺激します。
何度もこの衝撃を受けた水道管はいつか限界を迎えます。長期間ウォーターハンマー現象の衝撃を受けていると、配管の接続部分や給水装置などが故障します。この故障により水漏れが発生することも少なくありません。
特に水道管が壁の中で破裂し水漏れを起こすと被害が大きくなります。自分が気づく前に、マンションの下の階の住民の苦情によって発覚するというケースもある用です。
■給湯器などのセンサーが損傷・故障
何度も衝撃を受けることによって故障するのは水道管だけではありません。
もちろん、接続機器やセンサー、メーターが故障することもあります。「給湯器のお湯が出ない」というトラブルや便の故障の原因がウォーターハンマー現象だということも増えてきています。
まとめ
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今回はウォーターハンマー現象のメカニズム、発生しやすい場所、発生する原因、想定される二次被害について解説しました。
あまり聞きなじみのなかった現象かもしれません。しかし、近年の食器洗浄機や全自動洗濯機の普及により、身近な問題となりつつあります。
そこでしっかりと発生する原因や二次被害について把握しておくことが重要でした。実際に今回ご紹介した予防策を講じることである程度発生確率を下げることができます。
簡単に対策できるものもあるので、ぜひ試してみてください。これまで知らなかった人はもちろん、知っていたという人もこれを機に再確認してみてくださいね。